2012年10月04日

ドキュメンタリー映画「タケヤネの里」

映像作家・青原さとしさんの新作ドキュメンタリー映画「タケヤネの里」の試写に行ってきました。
青原さんとは、民族映像文化研究所が関わった日本山村会議などで御一緒して以来の友人です。

今回の作品は、伝統工芸品の材料であるカシロダケという竹の皮に焦点をあて、竹を通して文化や社会をひもといていくという大変興味深い内容になっています。

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カシロダケは、福岡県八女市星野村、黒木町、うきは市にしか生えていない全国でもまれな竹です。
美しく白い皮が特徴的で、江戸時代以前から包装用や高級雪駄、こっぽり、草履、本ばれんなどさまざまな生活用具に利用され、日本全国に出荷されてきました。

ところが、今では、地元の人でさえ知らない竹となり、今回の映像化により、初めて知ったという人が多いといういことです。大量生産・廃棄が全盛の時代に、修理しながら、長く使えるモノがどんどん日陰に追いやられていった中で、「竹皮」もその一つになってしまったようです。
現在、この竹皮を使った竹皮編の継承者は、群馬県伝統工芸士である前島美江さんだけだそうです。
その竹皮編は、昭和初期にドイツから亡命してきたユダヤ人建築家のブルーノ・タウトが、群馬県高崎市の竹皮草履職人と共同開発して生まれた工芸技術です。

カシロダケを使った竹皮細工による木版画用の本ばれんができるまでの手間のかかる繊細な作業。
出来上がったものと、小学校のときに版画の図工のときに使用したような大量生産のものとを比較して刷ってみるシーンでは、その違いに胸を打たれました。後者は、ムラがたくさんできてしまうのに、本ばれんは見事に真っ黒になるのです。自然と人の協同作業による素晴らしい技術に感動しました。

日光下駄やこっぽりの表つけも、一つずつの皮を丁寧に合わせていくことで、美しい網目ができ、長く使うことができるのです。

ぜひ、映像でその様子を観てください。
自然と暮らしと文化の奥深さを知り、豊かな気分になることができますよ。
同時に地域の資源、すなわち宝を私たちが忘れてしまったのではなく、私たちが暮らし方を忘れてしまったのだとも思い知らされます。

10月27日(土)から、渋谷・アップリンクで上映されます。
詳細はホームページをどうぞ。



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