2010年07月13日

「食のリスク学」中西準子氏著

蒸し暑い日が続きますね。
夏は、まだまだこれからが本番。健康管理が大切な時期ですよね。

食や農に関わるようになって早10数年が経ちました。
多くの方と同じように「沈黙の春」や「複合汚染」を読んで衝撃を受けたことが今では懐かしく思い出されます。最近、ふと、私の情報やイメージはそれを読んだころから更新されていないのではないかと思いはじめ、いろいろな本を読んだり、講演を聞きに出かけたりしています。インパクトの強いものは、イメージが固定されがちですから。

「農薬」や「添加物」が確かに大量に使われ、いろいろな悪影響を及ぼした時期もあったことは確かです。でも、あれからすでに40年ぐらい。そのときの情報というよりもイメージのままで、今も捉えているのでは?と思ったのです。
そんなふうに思ったきっかけの一つが、いくつかの本に出会ったことです。その一つが中西準子先生の「食のリスク学 氾濫する「安全・安心」をよみとく視点」です。
独立行政法人 産業技術総合研究所 安全科学研究部門長である中西先生は、リスク管理の重要性を提唱しておられます。
世の中に完全な安全はない。一つのリスクを削減したら、どこかで別のリスクが出てくる。そのリスクを検証して、どちらを選ぶのかがリスクトレードオフということです。

ふだんの暮らしの食以外の部分では、本能的に私たちはそのリスクを回避したり、判断したりしています。たとえば、すごく急いでいるときには横断歩道まで行かないで、道路を横切ってしまうとか。リスクをちゃんと瞬時に計算しているのです。

ところが食に関しては、食べ物が健康や病気に与える影響を過大に評価したり、伝えたりといったことが後を絶ちません。すべての食品、食材には功罪が必ずあります。たとえば、塩は適量を使うなら問題ないですが、大量に使えば健康を害します。「自然」なものであっても、害になることもあれば、毒を含んでいることもあるのです。無農薬が最高のもののようにイメージされていますが、カビ毒や植物が虫を寄せ付けないために出す物質のことなどはほとんど知られていません。

本書は、第1章では、リスクトレードオフの考え方について、第2章では、「フードファディズム」の著者である群馬大学の高橋久仁子氏との対談で「食べもの情報とリスクについて」、第3章ではジャーナリストの松永和紀さんのインタビューによる「食をめぐる論点」、第4章は先生が書いておられるホームページからの転載でさまざまな食の問題について述べられています。

特に高橋先生との対談では、アミノ酸ブームや牛乳有害論のおかしさ、国が認めていない「健康食品」など、かねてよりなんだか腑に落ちないと思っていたことをばっさりわかりやすく言いきってくれていて、スッキリしました(笑)

知りたかったことが満載の必読書です。
中西準子さんのホームページも必見!



とても専門的なサイトですが、国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部 主任研究官である畝山智香子さんのブログもご紹介しておきます。
残留農薬の基準値や添加物について知りたい方は、著書の「ほんとうの食の安全を考える ゼロリスクという幻想」もどうぞ。







ラベル:おすすめ本
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